がん治療が変わる~日本初の新・免疫療法『アクセル+ブレーキ療法®』

【2015年11月04日】
先日、NHKのクローズアップ現代で、新しい免疫療法の報道がありました。こちらに内容を抜粋して再度ご紹介します。

抗PD-1抗体

近年、がんに効く画期的な新薬が登場しました。名前は、「ニボルマブ(抗PD-1抗体)」といいます。この新薬はこれまでの抗がん剤とは全く概念が異なり、全く違う仕組みの新しい薬です。根本からがん治療を変えるのではないか、と今、世界中から期待されている新薬です。今年9月に、アメリカで開かれたがん治療の国際会議で、話題はこの新しい薬に集中しました。「がん治療が劇的に変わろうとしている。」「不可能を可能にする、大進歩です。」このような話題で学会内は持ちきりでした。

ニボルマブ(抗PD-1抗体)の効果

ニボルマブの効果1

ニボルマブ(抗PD-1抗体)は、どのようにしてがんに効果を示すのでしょうか。
免疫細胞はがん細胞を攻撃します。しかし、がん細胞もやられる一方ではありません。攻撃されたがん細胞は、ある方法で反撃を始めます。

免疫細胞には攻撃を止めるブレーキボタンがあります。攻撃を受けたがん細胞は腕を伸ばし、このボタンを押すのです。
すると、免疫細胞は攻撃をやめてしまいます。その結果、がん細胞は増え、がんが進行していきます。これに対しニボルマブ(抗PD-1抗体)は、ブレーキを押すがん細胞の腕を外し、ブレーキを守ります。こうなると免疫細胞の攻撃力は復活します。
これがこの薬の画期的な効果です。しかも、効いたらずっと長く効く点でも画期的な薬です。今度は薬でがんを本当に治せる、克服できる時代が来たと言えます。

ニボルマブの効果2

このニボルマブ(抗PD-1抗体)の治療の可能性は、いろいろながんにも広がりを見せています。 例えば、米国のあるがん患者様は2年前、肺がんが全身に転移し、余命数か月と診断されました。すぐに抗がん剤による治療を始めましたが、効果は現れませんでした。そこで抗がん剤をやめ、新しく開発されたニボルマブ(抗PD-1抗体)の臨床試験に参加することにしたのです。すると、新しい薬を使い始めたときには2センチ以上あったこの患者様の肺がんが、1年半後には画面では確認できないほど小さくなっていました。副作用もほとんどなく、今では趣味のバードウォッチングに出かけられるまでになったそうです。

免疫細胞を制御するブレーキ「PD-1」

このメラノーマや肺がんに目覚ましい効果が見られたニボルマブ(抗PD-1抗体)ですが、今、あらゆる種類のがんを対象に世界中で研究が進められています。がん治療を変えると注目されるこの薬ですが、実は1人の日本人研究者の発想から生まれました。日本を代表する免疫学者・本庶佑さんです。

20年ほど前、本庶教授は免疫細胞が持つ「PD-1」という役割の不明なたんぱく質を見つけ、その働きを探ろうとしました。遺伝子操作でPD-1がないマウスを作り、観察してみたのです。すると心臓に炎症が起きました。PD-1がないマウスでは免疫細胞が暴走し、自分自身の正常な細胞を攻撃してしまったのです。

免疫細胞を制御するブレーキ「PD-1」

このことから、PD-1が免疫細胞を制御するブレーキであることが分かりました。PD-1が免疫細胞のブレーキならば、その働きをコントロールすることでがん細胞と戦う力を取り戻せるかもしれない。そう考えた本庶さんは、新しいタイプのがん治療薬の開発を目指し、製薬会社に共同開発の話を持ちかけました。

しかし、治療に応用しようということを、一生懸命、企業に話をもちかけましたが、全く冷たいというか、乗り気になる企業は全くなかったというのが実情でした。
実は、免疫細胞の攻撃力を利用して、がん細胞と戦う免疫療法は、以前から研究されてはいました。しかし、期待されたような効果はほとんど上げられずにいたのです。

従来型の免疫療法のほとんどは、免疫細胞に働きかけ攻撃力を高めるというものでした。いわば、アクセルに作用するものです。本庶さんの提案するブレーキに作用する方法とは大きく異なりますが、同じ免疫療法というだけで製薬会社は懐疑的になったのです。当時、がんの専門家はほとんどがんの免疫療法は眉唾物だろうと考えていました。

本庶教授はがんの専門家ではなかったので、従来のものとは全く違う方法であることに興味を持ち、がん治療の製品化として、やってみる価値がある、ぜひやりたいと思ったそうです。その後、本庶さんの研究に注目したアメリカの研究者とベンチャー企業が協力してPD-1を抑える薬を開発し、高い効果を証明しました。こうして、ニボルマブ(抗PD-1抗体)が誕生したのです。

従来の治療が効かなかった患者様に劇的な効果

一般的に薬の開発には非常に多くのお金と時間がかかりますし、なかなか成功例がありませんでした。今までがん免疫療法(NK・T細胞投与)の開発は、非常に難しかったということがいえます。しかし、ニボルマブ(抗PD-1抗体)は、これまで通常の抗がん剤や手術、そういうものが効かなかった患者様に、2割から4割ぐらいの患者様で効果があるということで、非常に劇的に効いています。

従来の治療が効かなかった患者様に劇的な効果1

従来のがんに対する免疫療法の開発というのはアクセルを踏むことばかりを考え、どのように免疫細胞を活性化しようかということばかりを考えていました。ところが、免疫細胞をどんなに活性化しても、やはりがんの局所でこのブレーキを押されて、免疫細胞がブレーキをかけられてしまうと、これはがんを攻撃できないということで、効果が出ない例も少なくありませんでした。

今回、非常に画期的な、新しい治療法が開発されたということになります。今までの免疫療法の効果を邪魔していたブレーキを踏むというメカニズムが分かってきたということで、ここをやはりなんとかしないといけないという研究が進んできたということになります。
免疫細胞というのは、もともと自分と自分以外のものを識別して、自分以外のものを排除するというような働きを持っています。ですから、このブレーキというのは、免疫細胞が逆に暴走しないように、自分自身を攻撃しないようにするために非常に必要な分子だということになります。ところが、がん細胞は、その部分を上手に利用しがん細胞自身が攻撃されないよう、このブレーキを押す腕を出しているということが分かってきたということになります。

ですから、通常の抗がん剤と全く異なる副作用があります。抗がん剤というのは、がん細胞自身を攻撃するような薬ですが、このニボルマブ(抗PD-1抗体)は、免疫反応を高めることによって、がんを攻撃するものです。このチェックポイント分子というものは、免疫細胞が暴走しないように働いている分子なので、そのブレーキを外すと免疫細胞が暴走することによる副作用というものが起こってきます。
例えば肺の炎症であったり、大腸の炎症であったり、中には重症筋無力症という特殊な病気が起こった方も何万人に1名だけですがいらっしゃいました。現在、行われているニボルマブ(抗PD-1抗体)の治療では、約10人に1人ぐらいの患者様に副作用が出るというふうにいわれていますが、通常の抗がん剤の6分の1程度と少なく、安全な薬剤ということが言えます。

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現在、日本ではメラノーマという「ほくろ」のがんに対してのみ、この薬は保険認可・承認を受けています。欧米では、肺がんに対して承認を受けています。
また、腎臓がんや、ホジキンリンパ腫では、この薬が非常に効きやすいというような報告も出ています。逆に、すい臓がんや前立腺がん、大腸がんは、なかなか効きにくいことと、頭けい部がん、卵巣がん、胃がん、乳がんというのは効く可能性があるということで、現在、多くの臨床研究がされています。

抗CTLA-4抗体

例えば、ホジキンリンパ腫には非常に効きやすいといわれており、報告では9割の患者様で効果があったという報告もあります。メラノーマ、肺がん、腎臓がんでは、約2割から4割ぐらいの患者様で効果があるという報告です。ただし、これはほかの治療法では全く効果がない患者様に対して2割から4割ですから、非常に劇的に効いているということが言えます。

手術や抗がん剤、放射線の治療が効かない患者様に対しては、そのような進行がんの患者様に対して、2割から4割の患者様で効果が出るということです。

先月、アメリカで開かれた国際エロツズマブ合同会議では、ニボルマブ(抗PD-1抗体)への注目を受け、今までになく大勢の研究者が世界中から集まりました。課題として挙げられたのが、がんの種類によって効果がまちまちなことです。
ここ数年間で明らかにされた臨床試験の結果では、メラノーマや肺がんには効きやすい一方で、前立腺がんや大腸がんには効きにくいなど、がんの種類によって効果に差があることが分かってきました。では、薬が効きにくいがんに対してどうアプローチするのか。そして、効く、効かないを分けるポイントを見つけ出す取り組みが始まっています。そのヒントの1つが、ある患者たちを通して見えてきました。

22歳でステージ4の進行がんと診断された患者様がいました。この患者様は、薬が効きにくいとされた大腸がんでした。2度の手術と抗がん剤治療を行いましたが回復は見られず、一時は危篤状態に陥ったといいます。わらにもすがる思いで参加したのが、開発中のニボルマブ(抗PD-1抗体)の臨床試験でした。それから1年、今では1人で外出できるまでに回復しています。信じられないことに、がんが60%も小さくなっていたそうです。
この患者様の母親も、大腸がんと子宮がんを発病していました。2人の姉も、がんのリスクが高いと診断されています。実は彼らは「リンチ症候群」という、がんになりやすい遺伝性の病気でした。しかし、意外にもこのことが、大腸がんにもかかわらず薬が効いた理由だと考えられているのです。

一般的に大腸がんの細胞は、遺伝子の変異が少ないということが分かっています。免疫細胞にとっては正常な細胞と見分けがつきにくく攻撃しづらいと考えられています。これに対し、この患者様の病気の場合、同じ大腸がんであっても遺伝子の変異が多いことが明らかになりました。免疫細胞にとっては見つけやすいといえます。
この状態なら、がん細胞がブレーキを押しても、薬を使って外しさえすれば、著しい効果につながると考えられるのです。この患者様たちの場合、免疫細胞はすでにスタンバイ状態です。ブレーキを外せば、すぐに効果が現れるのです。

T細胞によるがん細胞への攻撃

皮肉なことに、この患者様のがんの原因になったものが、治療では助けてくれているということになります。リンチ症候群の人々を対象にした研究は、ニボルマブ(抗PD-1抗体)の効果について新たな知見をもたらしました。そのほかのがんでも、遺伝子の変異が多いタイプほど効果が高いのではないかと考えられるようになったのです。今、薬の効果を最大限に引き出すため、遺伝子の研究が進められています。

ニボルマブ(抗PD-1抗体)が効きやすいがん、効きにくいがんというものをよく調べてみると、効きやすいがんは、遺伝子変異が多いがんということが分かってきました。免疫システムは、このような変異のあるたんぱくを認識し、これを攻撃する能力がありますので、やはりそのようながんは、ニボルマブ(抗PD-1抗体)が効きやすいということです。

さまざまな報告がありますが、効きにくいがんに比べて、効きやすいがんでは、やっぱり数十倍程度、変異の数が多いというような報告があります。ただ、遺伝子変異の少ないがんはおとなしいがんなので、他の治療法が効きます。そして、遺伝子変異の多い悪性度の高い、転移の早いがんであり、今まで治療が困難であったがんほど、この免疫療法が効くということが言えます。

免疫システムは、自分自身は攻撃をしないが、自分以外のものは攻撃するという能力を持っています。これは外から入ってくるインフルエンザウイルスのような病原体でも同じで、体の中に存在する、変異のあるがん細胞は自分自身以外のものを持っているということで、免疫細胞がこれを見つけて攻撃をしてくれるということになります。
一般的に抗がん剤は耐性ができ、長く使っていると効かなくなる患者様が出てくるので、複数の抗がん剤を併用せざるを得ませんが、ニボルマブ(抗PD-1抗体)は、直接がんを攻撃するわけではなく、免疫細胞を活性化することによってがんを攻撃しますので、免疫細胞というのは、さまざまな変異を認識することができますから、がん細胞はなかなか逃れることができないということになります。

ただ、効く患者様というのは遺伝子変異が多い患者様であるため、これを遺伝子解析という方法で見つけるか、あるいは、このPD-1という分子にブレーキをかけている、その腕である「PD-L1」という分子がたくさん出ているものほどブレーキが強くかかっているので、そのような患者様に効くのではないかという研究が進んでいます。また10人に1人程度に副作用が起こりますので、そのような患者様を同定するための研究というものもされています。

アクセル+ブレーキ療法1

一つ一つの小さながん細胞が免疫細胞からの攻撃を上手にすり抜け、免疫細胞に攻撃されないものとして徐々に大きくなってきたものが、現実、われわれが目にしている「がん」です。ですから、免疫療法は理にかなった非常に画期的な治療法と言えます。そして、がんが免疫をすり抜けてきたメカニズムがよりはっきりと分かることで、よりよい治療法が生み出せることになります。

今後は、ブレーキを外しながらアクセルを踏むという研究が最も重要になります。まずはこの『アクセル+ブレーキ療法®』をもとに、現段階ではがんに対し最善の治療であり、新しい画期的な免疫療法である『免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(抗PD-1抗体)併用がん免疫療法(NK・T細胞投与)』を行っていくことが、現時点のがん治療では最重要事項であると考えます。

アクセル+ブレーキ療法®商標登録証

湘南メディカルクリニックにて独自で行アクセル+ブレーキ療法®は、平成28年7月1日に商標登録されております。

商標登録:第5862075号
商標名:アクセル+ブレーキ療法®
区分:第44類 医療
商標権者:東京都新宿区西新宿6-2-16 カンノビル6F 医療法人湘美会
出願番号:商願2015-123949
出願日:平成27年12月4日
登録日:平成28年7月1日

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監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

詳しくはこちら

【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年新宿血管外科クリニック 院長
2015年湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

当院で受けることが出来る免疫チェックポイント阻害剤

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    がん免疫療法(NK・T細胞投与)と併用し免疫機能を高めるニボルマブ(抗PD-1抗体)の点滴治療

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    詳細はこちら

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よくあるご質問

  • 治療期間はどのくらいですか?
  • 副作用はありますか?
  • 費用はいくらかかりますか?

当院におけるニボルマブ(抗PD-1抗体)・イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)副作用発現頻度

副作用当院統計小野薬品統計
間質性肺炎3/300例(1%)247/8077例(3%)
肝機能障害10/300例(3.3%)116/8077例(1.4%)
甲状腺機能低下症3/300例(1%)212/8077例(2.6%)
甲状腺機能亢進症1/300例(0.3%)106/8077例(1.3%)
副腎機能不全3/300例(1%)13/8077例(0.1%)
大腸炎5/300例(1.6%)21/8077例(0.2%)
下痢-167/8077例(2%)
発疹5/300例(1.6%)118/8077例(1.4%)
しびれ1/300例(0.3%)0/8077例(0%)
むくみ1/300例(0.3%)0/8077例(0%)

※小野薬品の8077症例とほぼ同等。

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