がん医療の最新トレンド(3)
プレシジョン・メディシンとは?

■オバマ氏の一般教書演説で注目
近年の医療をめぐるキーワードの一つに「プレシジョン・メディシン(precision medicine)」という言葉があります。2015年、当時アメリカの大統領だったバラク・オバマ氏が一般教書演説の中で「プレシジョン・メディシン・イニシアチブ」を掲げたことがきっかけとなり、多くの人に注目されるようになりました。

Precisionは「正確な」とか「精緻な」といった意味合いをもつことから、日本語では「精密医療」と訳されることが多いのですが、それがどんな医療を指すのかは、なかなかイメージしにくいかもしれません。

プレシジョン・メディシンは、個人の臨床上のデータをはじめ、ライフスタイル、遺伝子やヒトゲノム情報などさまざまな生体情報に基づいて、より精密な診断(病気の詳細なグループ分類)を行い、そのグループごとに治療や予防を確立していく「個人の詳細な情報に基づく医療」を意味しています(図1)。

こうした医療を目指す背景には、診療録(カルテ)や検査データなど個人の医療情報を集めたビッグデータの有効利用が期待されていることに加え、次世代シークエンサー(DNA配列の自動解読装置)などが開発され、正確かつ迅速に大量の遺伝子情報の分析が可能になったことが挙げられます。

図1 プレシジョン・メディシンのイメージ

プレシジョン・メディシンのイメージ

■がんを「臓器別」から「遺伝子の異常」で分ける時代に
がんは、遺伝子異常の蓄積によって生じる病気であり、「遺伝子病」といわれることもあります。これまでは、大腸がん、肺がん、乳がんといったように臓器別に、あるいは組織のタイプなどによって分類され、効果的な治療法が考えられてきました。ところが、分子標的薬の登場などによって、ある薬が効くかどうかは、ある遺伝子に異常があるかどうかが重要な判断材料となることが明らかになってきました。違う臓器にできたがんであっても、同じ遺伝子異常をもったがんであれば、同じ薬剤が効果的である可能性があるわけです。

逆に、同じ肺がん患者であっても、ある薬がこちらの患者には効いて、あちらの患者には効かないといったことが生じており、それは、遺伝子レベルでの違いによるのではないかと考えられています。

■「がんゲノム情報管理センター」が設立
遺伝子情報はがんの診断・治療において極めて重要な情報となっています。その人にとって適切な治療を行うには、遺伝子レベルでの情報が欠かせません。そこで、その情報の収集、集積、解析、臨床へのフィードバックを効率よく実現する仕組みの構築が進められています。

日本では2018年6月、国立がん研究センターの中に、がんゲノム医療の拠点「がんゲノム情報管理センター」が設立されました。全国のゲノム医療の情報を集約・保管するとともに、その情報を新たな医療の創出のために活用していく役割を担っています。

また、複数の遺伝子異常を同時に確認し、最適の治療薬をみつけるための遺伝子パネル検査や、血液などの体液を使って診断や治療効果予測を行う技術(リキッドバイオプシー)の開発など、次々にプレシジョン・メディシンの実現を目指す試みが行われています。

がん免疫療法においても、ゲノム情報の活用の意義は大きく、ネオアンチゲンワクチン療法などの次世代シークエンサーを活用した新たな免疫療法が開発されており、その成果が期待されています。

《参考資料》
中村祐輔, 日本内科学会雑誌. 2018; 107(9): 1688-1695

監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

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【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

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