薬物療法の効果判定(2)
副作用をどう見極めるか

■副作用の判定に使われる基準
細胞障害性抗がん剤、分子標的薬、ホルモン薬、免疫チェックポイント阻害薬など、がんの治療で使われる薬では多かれ少なかれ、副作用が出現します。副作用を恐れて薬の量を減らすと、期待すべき効果が得られないこともあります。

そこで、がんの薬物療法では、「薬の効き目を最大限に引き出し、かつできるだけ副作用を抑える」という難しい調整をしなければなりません。

副作用の出方や感じ方には個人差があり、場合によっては副作用が強く現れてしまうこともあります。その場合、薬物療法を中止するか、あるいは量を減らすか、他の薬に変更するかといった判断が求められます。

その判断基準として、日本でも広く用いられているのが、米国立がん研究所(NCI)が作成した「CTCAEガイドライン」です(表1)。副作用を含む有害事象の程度で5段階に分類されており、グレード2であれば薬の量などを減らしたり、グレード3、4であれば治療をいったん休止し、改善しない場合はその治療をストップするなどの対応がとられます。なお、有害事象とは、治療や処置に際して観察される好ましくない全ての症状・疾患であり、治療や処置との因果関係の是非で判断されるものを含みます。

表1 有害事象の分類(CTCAEガイドライン バージョン5.0)

有害事象の分類(CTCAEガイドライン バージョン5.0)

Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) v5.0
https://ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/electronic_applications/docs/CTCAE_v5_Quick_Reference_5x7.pdf
より作成

■薬物療法を中止する副作用以外の原因
薬物療法を中止せざるを得なくなる理由としては、副作用の出現以外にも、患者の全身状態が悪化したときや、病気の進行とともにさまざまな臓器障害が出てきたとき、患者が中止を希望したときなどが挙げられます。

患者の全身状態を評価する指標としては、米国の東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)が定めた「パフォーマンス・ステータス(PS)」がよく用いられます(表2)。一般的な薬物療法の適応は0または1で、2以上では患者ごとの検討が必要とされます。

また、肝機能障害や腎機能障害などの臓器障害をきたした場合も、薬の効果が強く出たり、副作用が出たりするため、薬物療法を行いにくくなります。

副作用の辛さから、患者自身が中止を希望することもあります。現在では、多くの場合、本人の希望が優先されます。

表2 患者の全身状態を評価する指標(ECOG-PS)

患者の全身状態を評価する指標(ECOG-PS)

Common Toxicity Criteria, Version 2.0 Publish Date April 30, 1999
http://ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/electronic_applications/docs/ctcv20_4-30-992.pdf
より作成

■個々人における薬の有効性を見極めるコンパニオン診断薬
最近、使用されることが増えてきた分子標的薬では、薬の有効性や副作用を予測するために、かかった病気の遺伝子の状態(変異の有無や標的分子の発現など)を調べるコンパニオン診断薬が開発されています。

たとえば、乳がんの治療薬トラスツズマブは、HER2(ハーツー)という遺伝子が異常に発現している人に有効であるため、投与前にコンパニオン診断薬を用いてHER2の発現量を調べ、有効な人だけに投与されます。

こうした診断薬と治療薬をセットで使うことで、効果がないのに副作用だけ強いといった事態が避けられるようになり、より効果的な治療選択が行えるようになってきました。

《参考資料》
固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライン), 日本語訳JCOG版
国立がん研究センターがん情報サービス, 薬物療法(化学療法).
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy.html
畠清彦(著), がんを薬で治す 2013年版. 朝日新聞出版 2012

監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

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【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

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