免疫療法の進化(1)
がんワクチン療法の進化形 「ネオアンチゲンワクチン療法」

■がん細胞だけにある目印を見つけたい
がんの免疫療法において厄介なのは、がん細胞が自分の細胞であるということです。そもそも免疫は「自己でないもの=異物」を排除する仕組みですから、元々自分の細胞だったがん細胞は敵として識別しにくく、本来の攻撃力を発揮することができません。

そこで、がん細胞の目印となる物質(がん抗原)をワクチンとして体内に送り込み、免疫の力でがん細胞を撃退するのが、がんワクチン療法です。投与されたワクチンは、免疫細胞である樹状細胞にがん細胞の目印として認識され、その情報が攻撃役の免疫細胞(T細胞)に伝えられます。情報を受け取ったT細胞が活性化し、がん細胞を攻撃するという仕組みです。

目印(がん抗原)となるのは、がん細胞の表面に出ているペプチド(たんぱく質の断片)です。このペプチドを直接投与するのが「ペプチドワクチン療法」であり、樹状細胞をいったん体外に取り出し、樹状細胞に目印を覚え込ませたうえで、再び体内に戻すのが「樹状細胞ワクチン療法」です。

さまざまな種類のペプチドが発見されて、ワクチン療法に利用されてきました。しかし、残念ながら、1つの“壁”を乗り越えられずにいました。がん細胞だけにみられると考えられていたペプチドが、実は正常細胞にも存在しているということがわかり、それががんワクチン療法の進展を阻んでいました。

■次世代シークエンサーの登場で、個別化治療が可能に
近年、この“壁”を乗り越える技術革新がありました。それは、次世代シークエンサーと呼ばれる装置の開発です。正常な細胞は、がん細胞になっていく過程で、遺伝子の情報が間違ったものに書き換えられてしまいます。これを遺伝子変異といいますが、次世代シークエンサーは、この遺伝子変異をすばやくみつけることができます。つまり、がん細胞独自の遺伝子変異に伴って新たに生まれた変異ペプチド(変異抗原)を正確に把握できるようになったのです。

この変異ペプチドを「ネオアンチゲン(別名:新生抗原、新規抗原、腫瘍特異的変異抗原)」と呼びます。変異ペプチドは正常な細胞には発現しておらず、がん細胞だけにみられるものです。これを目印として免疫細胞に覚え込ませ、活性化させるのが「ネオアンチゲンワクチン療法」であり、有効性の高い治療法として期待されています。

がん細胞は、たくさんの遺伝子変異をもっていますが、それらは一人ひとり異なります。このため、目印となるネオアンチゲンも一人ひとり異なっているので、ネオアンチゲンワクチン療法は、個別化(オーダーメイド)治療となります。

一人ひとりの患者のがん細胞と、正常細胞の遺伝子配列を比較してネオアンチゲンを特定し、さらに化学合成によってうまくT細胞の攻撃を活性化できるような形(ペプチド)にして患者に投与する(図1)。これはこれで難しい課題がたくさんありますが、現在、多くの医療機関や関連企業が完全個別化ワクチンの創製をめざし、研究を重ねています。

図1 ネオアンチゲンワクチン療法の流れ

ネオアンチゲンワクチン療法の流れ

《参考資料》
玉田耕治(著), やさしく学べるがん免疫療法のしくみ. 羊土社 2016

監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

詳しくはこちら

【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

当院で受けることが出来る免疫チェックポイント阻害剤

  • ニボルマブ(抗PD-1抗体)

    ニボルマブ(抗PD-1抗体)とは?

    がん免疫療法(NK・T細胞投与)と併用し免疫機能を高めるニボルマブ(抗PD-1抗体)の点滴治療

    詳細はこちら

  • イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)

    イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)とは?

    CTLによるがん(細胞)の破壊する働きを助ける免疫チェックポイント阻害剤

    詳細はこちら

  • 2種類の免疫チェックポイント阻害剤の併用療法

    免疫チェックポイント阻害剤併用療法とは?

    ニボルマブ(抗PD-1抗体)+イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)併用がん免疫療法(NK・T細胞投与)でがんの治癒率が飛躍的に伸びる可能性があります。

    詳細はこちら

  • アクセル+ブレーキ療法®コラム

    免疫療法のアクセル+ブレーキ療法®とは?

    従来の各種免疫細胞の活性化(アクセル)と、がん細胞の反撃を抑える免疫チェックポイント阻害剤(ブレーキ)を併用した新しい治療

    詳細はこちら

湘南メディカルクリニックによる
あきらめないがん治療

まずは、お気軽にご相談下さい。

新宿
0120-798-300
両国
0120-279-219

通話無料 診療時間 AM10:00~PM7:00

よくあるご質問

  • 治療期間はどのくらいですか?
  • 副作用はありますか?
  • 費用はいくらかかりますか?

カテゴリー別【がん治療情報コラム一覧】

がん免疫療法(治療)の 湘南メディカルクリニック