免疫チェックポイント阻害薬の効果(3)
抗PD-L1抗体薬の働きとは?

■がん細胞に発現するPD-L1をブロック
免疫チェックポイント阻害薬では、抗PD-L1抗体と呼ばれるタイプの薬剤も登場しました。

がん細胞への攻撃役で重要な役割を担っている免疫細胞が、活性化したT細胞です。このT細胞からの攻撃を逃れる巧妙な仕組みを、がん細胞は備えています。

活性化したT細胞の表面には、PD-1という免疫チェックポイント分子(免疫チェックポイント受容体ともいいます)が発現しています。T細胞は、ウイルスや細菌などから体を守るために準備をしていますが、T細胞が活発になりすぎれば、自らの体を攻撃しかねません。そのため、免疫系にブレーキをかける仕組みの1つとしてPD-1を発現します。PD-1を発現したT細胞は機能が抑えられ、攻撃力がダウンします。

この仕組みを、がん細胞は「悪用」します。がん細胞自身の表面に発現しているPD-L1という物質を、PD-1と結合させます。すると、T細胞の活性化が抑えられ、がん細胞は生き延びることができるのです。これを「がん細胞の免疫逃避」と呼んでいます(図1左)。

抗PD-L1抗体は、がん細胞のPD-L1に結合することで、PD-1とPD-L1の結びつきを遮断してT細胞の活性化を維持します(図1右)。

図1 抗PD-L1抗体薬が働く仕組み

表1 ニボルマブの主な副作用(単独投与)

PD-1とPD-L1が結合する経路は、がん細胞が免疫細胞からの攻撃を回避する重要な手段の1つとなっており、抗PD-1抗体であるニボルマブは、T細胞表面のPD-1に結合することで、PD-1とPD-L1の結びつきをブロックします。

抗PD-L1抗体薬は、日本ではアテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブの3剤が承認されています。現在、アテゾリズマブとデュルバルマブは進行非小細胞肺がん、アベルマブはメルケル細胞がん(皮膚がんの一種)という希少がんが対象となっています(2019年7月末現在)。

■PD-L1の発現量は、薬の効果の指標になる?
実は、がん細胞にはPD-L1を発現していないものもあります。そうすると、PD-L1の発現量が多いがん細胞をもつ患者のほうが、抗PD-1抗体薬や抗PD-L1抗体薬の効果がより高いのではないか、と想像されます。そこで、PD-L1免疫染色という方法によって、PD-L1の発現量の検査が行われています。

たとえば、非小細胞肺がんを対象とした臨床試験では、PD-L1の発現率が50%以上の患者で、PD-1抗体であるペムブロリズマブの効果が高まることが示されました1)。そのため、「がん免疫療法ガイドライン第2版」では、進行非小細胞肺がんに対し、PD-L1の発現率が50%以上でペムブロリズマブ投与がすすめられています。

こうした結果から、PD-L1の発現状況は、抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体が効くかどうかを見極める指標(バイオマーカー)として活用できるのではないかと期待されました。しかし、その後の研究で、PD-L1の発現を認めないケースでも治療効果があったり、PD-L1の発現が50%以上でも必ずしも効果がなかったりする場合があることもわかってきました。たとえば、進行腎細胞がんで、ニボルマブの治療効果とがん細胞におけるPD-L1の発現に関係が認められないといった報告2)があり、今後の課題となっています。

1)Garon EB, et al. N Engl J Med. 2015; 372(21): 2018-2028.
2)Motzer RJ, et al. N Engl J Med 2015; 373(19): 1803-1813.

《参考資料》
日本臨床腫瘍学会(編), がん免疫療法ガイドライン 第2版. 金原出版 2019
室圭(編), 別冊・医学のあゆみ がん免疫療法の躍進. 医歯薬出版 2018
日本肺癌学会, 肺癌患者におけるPD-L1検査の手引き.
https://www.haigan.gr.jp/uploads/files/photos/1400.pdf

監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

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【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

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