がん医療の最新トレンド
がん遺伝子検査で何がわかるの?

■生まれつきの遺伝子の変異を調べる「遺伝学的検査」
遺伝子は、私たちの体をつくり、生命活動を維持するための設計図で、正常な細胞は正しい設計図にしたがって、適切な場所、タイミングで増殖するように調節されています。ところが、がん細胞は遺伝子に傷を負っているために設計図に狂いが生じている状態で、場所も時もわきまえず、無制限に増殖し続けたり、本来つくるべきでない物質をつくったりしてしまいます。

遺伝子に傷がある理由は、生まれつきの場合と、生活していくなかで後天的に傷ついた場合とがあります。ある種のがんでは、そのがんになりやすい体質をもっているかどうかにかかわる遺伝子変異がわかってきています。このような生まれつきの遺伝子の変異を調べる検査を「遺伝学的検査」といいます。

アメリカの女優アンジェリーナ・ジョリーさんは、遺伝学的検査を受けて、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群と診断され、将来の発がんのリスクを避けるため、乳房と卵巣を切除し、大きな話題となりました。BRCA1遺伝子もしくはBRCA2遺伝子と呼ばれる遺伝子のどちらかに変異がみられると、乳がん、卵巣がんを発症しやすい体質をもっている可能性が高いことがわかっていて、ジョリーさんはこれに該当したのです。

ただし、こうした変異があったからといって、必ずがんを発症するわけではありません。検査を受けるかどうかは慎重な判断が必要で、検査を受ける場合も、専門家によるカウンセリングを受けることが重要です。

なお、遺伝学的検査は、抗がん剤の効きやすさや副作用の強さなどを判断するために行われることもあります。

■治療方針の決定に役立つ「遺伝子検査」
一方、さまざまながんにおいて、そのがん細胞に特有の遺伝子変異が明らかになってきており、これを調べる検査を「体細胞遺伝子検査」といいます。体細胞遺伝子検査も、がんの診断や治療に採り入れられてきています。

たとえば、乳がんでは、細胞の増殖にかかわるHER2たんぱくと呼ばれるたんぱく質が、がん細胞の表面にたくさん現れるタイプがあり、このようなタイプでは、HER2たんぱくの働きをピンポイントに抑えるトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)や、ラパチニブ(商品名:タイケルブ)といった分子標的薬の効果が期待されます。

乳がんをはじめ、いくつかのがん種では、治療を始める前に、あらかじめ患者のがん細胞の遺伝子を調べ、薬の選択など治療方針を検討したうえで、標準治療が行われます((表1

表1 薬の効きやすさの判断に用いられるがん遺伝子検査(2018年11月時点)

図1 免疫チェックポイント阻害薬の作用メカニズム

■一度にたくさんの遺伝子を調べる「遺伝子パネル検査」
がんの遺伝子検査では、最近、一度に多数(数十~数百)の遺伝子変異の有無を調べることができる「がん遺伝子パネル検査」が注目を集めています。

がん遺伝子パネル検査は、標準治療が確立されていないがん(希少がん)の患者や、標準治療が終了した患者などに対して行われます。検査の結果、遺伝子変異がみつかった場合には、専門家が治療の可能性を検討してくれる仕組みで、従来は治療をあきらめざるを得なかった患者にとって朗報です。日本では、国立がん研究センターが開発した日本人のためのがん遺伝子パネル検査「OncoGuide™ NCCオンコパネルシステム」(日本人のがんで多く変異が見られる遺伝子114個を一度に検査)について、2019年6月に健康保険を利用することが認められました。

どの遺伝子に変異があるかは、そのがんの性格を特徴づけるものといえます。がん治療は、従来の臓器別の治療戦略に加え、個々の患者のがん細胞の性格や特徴に合った治療戦略(個別化医療)が、重視されるようになっています。この考え方をがんゲノム医療、あるいはプレシジョン・メディシンと呼んでいて、今後、ますます研究が深まっていくことが期待されています。

《参考資料》
日本乳癌学会(編), 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 第5版. 金原出版 2016
国立がん研究センターがん情報サービス, がんゲノム医療とがん医療における遺伝子検査.
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/genomic_medicine/index.html

監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

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【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

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