免疫チェックポイント阻害薬の効果(2)
ニボルマブとイピリムマブは併用すると効果大!

■免疫チェックポイント阻害薬の先駆けとなったイピリムマブ
最初に開発された免疫チェックポイント阻害薬であるにもかかわらず、ニボルマブの陰に隠れがちなのが、抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブです。実はその開発過程で、がん免疫療法特有の効果の出方や有害事象、副作用などが明らかにされ、免疫チェックポイント阻害薬の研究において、先駆けとなった薬剤です。

イピリムマブ単剤で有効性が確認されたのは、ニボルマブと同様、やはり悪性黒色腫(メラノーマ)です。未治療の進行期悪性黒色腫の患者を、イピリムマブ単剤投与群、ペプチドワクチン*投与群、イピリムマブとペプチドワクチン併用群の3群を比較した海外の臨床試験では、全生存期間中央値**はそれぞれ10.1か月、6.4か月、10か月とイピリムマブを使用した群のほうが明らかに良好でした(1。

この結果をもとに、進行した悪性黒色腫に対するイピリムマブの治療が、アメリカや日本で承認されました。ただ、今のところ単剤で有効性が認められたのは悪性黒色腫だけです。

*ペプチドワクチン:がん細胞に特有のペプチドと呼ばれる化合物を患者に注射し、患者自身の持っている免疫の力を高めてがんの増大を抑えることを目指す治療法。
**全生存期間中央値:ある治療方法を行ったときの患者数が101人いたとし、生存期間の短いほうから長いほうに順に並べたとき、ちょうど51人目の値が生存期間の中央値となる。

■ニボルマブとの併用でさらに有効性が高まる
一方、イピリムマブとニボルマブを併用すると、イピリムマブ単剤よりも効果が高いことがわかっています。未治療の悪性黒色腫に対するイピリムマブ+ニボルマブ併用療法と、イピリムマブ単剤療法を比較した海外の臨床試験で、奏効率***はそれぞれ61%、11%と併用群のほうが明らかに高いことが示されました(2。

ニボルマブと同じ抗PD-1抗体薬に分類されるペムブロリズマブとイピリムマブの併用療法でも、進行期悪性黒色腫に対してイピリムマブ単剤療法よりも1年生存率が明らかに優れていると報告されています(3。

***奏効率:治療を実施した後に、がん細胞が縮小もしくは消滅した患者の割合。奏効率20%以上の場合に効果があるとされる。

■腎細胞がんにも併用療法は有効
イピリムマブとニボルマブの併用療法は腎細胞がんでも有効性が認められ、健康保険を利用できます。

腎臓は、尿をつくる「腎実質」と、できた尿を集める「腎盂(じんう)」に分かれており、腎実質にできるがんを総称して、腎細胞がんといいます。一般に、腎がん(腎臓がん)といった場合、この腎細胞がんを指します。

進行・転移した腎細胞がんはもともと細胞障害性抗がん剤が効きにくく、免疫療法の1つであるサイトカイン療法が唯一の治療法でしたが、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場により、さらなる生存期間の延長が期待できるようになり、治療法の選択肢が広がっています(図1

図1 免疫チェックポイント阻害薬の作用メカニズム

『がん免疫療法ガイドライン第2版』では、未治療の中リスク、高リスクの進行性腎細胞がんに対して、イピリムマブとニボルマブの併用療法は奏功率を改善し、全生存期間を延長するとして推奨されています。

イピリムマブはニボルマブ以外にも、放射線療法、他の免疫療法、分子標的薬などとの併用療法が試みられており、併用に強いイピリムマブの役割はまだまだ期待できそうです。

1)Hodi FS, et al. N Engl J Med. 2010; 363(8): 711-723.
2)Larkin J, et al. N Engl J Med. 2015; 373(1): 23-34.
3)Robert C, et al. N Engl J Med. 2015; 372(26): 2521-2532.

《参考資料》
日本臨床腫瘍学会(編), がん免疫療法ガイドライン 第2版. 金原出版 2019
室圭(編), 別冊・医学のあゆみ がん免疫療法の躍進. 医歯薬出版 2018
西川博嘉(企), がんは免疫系をいかに抑制するのか. 実験医学 Vol.36 No.9, 羊土社 2018

監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

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【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

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    がん免疫療法(NK・T細胞投与)と併用し免疫機能を高めるニボルマブ(抗PD-1抗体)の点滴治療

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