免疫チェックポイント阻害薬の効果(1)
ニボルマブでどんな効果が期待できる?

■多種類のがんに効く免疫チェックポイント阻害薬
世界に先駆けて日本でいち早く承認された免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ」は、現在ではさまざまながんの治療に使われています。

従来の抗がん剤(細胞障害性抗がん剤)は、たとえば大腸がんにはこれ、乳がんにはこれといったように、臓器別に効果のある薬剤がおおよそ決まっていましたが、免疫チェックポイント阻害薬ではいくつかの臓器にまたがって多種類のがんに効果が認められるのが大きな特徴です。

がん細胞自体を直接攻撃する細胞障害性抗がん剤に対して、免疫チェックポイント阻害薬をはじめとする免疫療法の最大の強みは、自身に備わった免疫の力を活性化することでがんを叩くことです。

■悪性黒色腫の奏効率が大幅にアップ
ニボルマブは最初、悪性黒色腫(メラノーマ)という皮膚のがんに対して、健康保険を使うことができるようになりました。いわゆるほくろのがんで、メラニン色素をつくる色素細胞(メラノサイト)やほくろの細胞(母斑細胞)ががん化して発生するものです。大きく4つのタイプに分けられます(表1)。

図1 免疫チェックポイント阻害薬の作用メカニズム

ほくろの色が濃くなったり、形が大きくなったりして発見されることが多く、日本では1年間に100万人あたり約10~20人が新たに悪性黒色腫と診断されています。男女とも60歳代から高齢になるにつれて罹患率が高くなります。

進行した悪性黒色腫に対して、標準治療薬として1970年代から40年以上も使われてきたのが、抗がん剤のダカルバジンです。しかし、悪性黒色腫の薬物治療は、ニボルマブの登場で一変しました。

未治療の進行期悪性黒色腫を対象に、このダカルバジン投与群とニボルマブ投与群を比較した海外の臨床試験によると、1年時点の奏効率はニボルマブ群40.0%、ダカルバジン群13.9%でした(1。奏効率とは、その治療を実施後に、がん細胞が縮小もしくは消滅した患者の割合を示したもので、奏効率20%以上の場合に効果があるとされます。

もう少し詳しくみると、1年生存率はニボルマブ群72.9%、ダカルバジン群42.1%、無増悪生存期間(症状が悪化せずに生存した期間)はニボルマブ群5.1か月、ダカルバジン群2.2か月でした。明らかにニボルマブ群のほうが高い効果を示したといえます(図1)(1。

図1 未治療の進行期悪性黒色腫に対する1年生存率

ニボルマブは、悪性黒色腫の手術ができない場合や再発した場合に、単剤で用いられています。奏効してがんの縮小が見られた患者では、その効果が長続きする傾向があるとされ、がんの進行を長期にわたって抑える効果も期待されています。

なお、重篤な副作用は、ニボルマブ群11.7%、ダカルバジン群17.6%でした。

■肺がんの薬物治療でも重要な位置に
ニボルマブは、悪性黒色腫に続いて肺がんの治療でも健康保険を使うことができるようになりました。現在では免疫チェックポイント阻害薬は、肺がんの薬物治療において、細胞障害性抗がん剤、分子標的薬と並んで重要な位置を占めています。

肺がんはその組織型により、小細胞がんと非小細胞がんに大別されますが、ニボルマブが有効なのは非小細胞がんで、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんが含まれます。

ただし、肺がんの場合、ニボルマブ単剤で効果が得られる症例は限られているため、さらなる効果を期待して細胞障害性抗がん剤や他の免疫療法などとの併用療法が試みられています。また、効果のない人に投与して副作用だけに苦しむことがないよう、効く人を見極めるためのバイオマーカー(血液や尿、組織などのデータで、病気の変化や治療に対する反応をみる指標)の開発も進められています。

1)Robert C, et al. N Engl J Med. 2015; 372(4): 320-330.

《参考資料》
日本臨床腫瘍学会(編), がん免疫療法ガイドライン 第2版. 金原出版 2019
室圭(編), 別冊・医学のあゆみ がん免疫療法の躍進. 医歯薬出版 2018
西川博嘉(企), がんは免疫系をいかに抑制するのか. 実験医学 Vol.36 No.9, 羊土社 2018

監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

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【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

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