免疫チェックポイント阻害薬の誕生
適応の範囲がどんどん広がるニボルマブ

■免疫チェックポイント分子の発見
がん治療の第4の柱として注目されている免疫チェックポイント阻害薬の誕生には、日本人の活躍がありました。免疫チェックポイント阻害薬の開発につながったのが、T細胞上にあるPD-1やCTLA-4といった免疫チェックポイント分子の発見です。

2018年、京都大学特別教授の本庶佑(ほんじょ・たすく)氏と、米テキサス大MDアンダーソンがんセンター教授のジェームズ・アリソン氏が、ノーベル医学・生理学賞を共同受賞しました。

本庶氏はPD-1研究の、アリソン氏はCTLA-4研究のパイオニアです。こうした免疫チェックポイント分子に関する研究が新しいタイプのがん薬物療法の開発につながり、このことが高く評価されたのです。

■PD-1から誕生したニボルマブ
本庶氏の研究から誕生したのが、抗PD-1抗体薬のニボルマブです。1992年、本庶氏は免疫細胞の表面にPD-1というこれまで知られていなかった新しい物質があることを発見しました(1。さらにその後の研究で、PD-1が体の中で免疫が働くのを抑えるブレーキの役割を果たしていることも突き止めました。これらの基礎研究をもとに、抗PD-1抗体薬のニボルマブが開発されました。

ニボルマブは、2006年に進行がん(悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がんなど)に対する臨床試験が開始され、2014年には世界に先駆けて悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として日本で承認されました、翌2015年には非小細胞肺がんで健康保険が使えるようになり、アメリカやヨーロッパでも承認されました。

その後、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がんなどでも健康保険が使えるようになっており、これら以外にも世界中でさまざまながんに対する臨床試験が行われています。さらに、他の免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤、分子標的薬などとの組み合わせによる臨床試験も世界中でさかんに実施されています。

■CTLA-4から誕生したイピリムマブ
一方、CTLA-4の研究から誕生したのが、抗CTLA-4抗体薬のイピリムマブです。1996年、アリソン氏らは動物モデルでCTLA-4阻害による抗腫瘍効果を明らかにしました(2。

ただ、イピリムマブ単独ではあまり抗腫瘍効果がみられなかったことから、アメリカで悪性黒色腫を対象として、イピリムマブとペプチドワクチンとの併用効果を調べる臨床試験が開始されました。これは、がん細胞にくっつく特有の目印(抗原)を患者に注射し、患者自身のもっている免疫の力を高めることを目指す治療です。その結果、明らかな改善が確認されました(3。

2011年、イピリムマブは免疫チェックポイント阻害薬としては世界で初めて、FDA(アメリカ食品医薬品局)により切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として承認されました。ヨーロッパでは2011年、日本では2015年に承認されています。

イピリムマブはニボルマブとの併用で使われることが多く、日本では、悪性黒色腫と腎細胞がんに対して健康保険を使うことができます(2019年5月末現在)(表1)。

転移性腫瘍に対するニボルマブとイピリムマブの承認・開発状況(2019年2月1日現在)

1)Ishida Y, Honjo T, et al. EMBO J. 1992; 11(11): 3887-3895.
2)Leach DR, Allison JP, et al. Science. 1996; 271(5256): 1734-1736.
3)Hodi FS, et al. N Engl J Med. 2010; 363(8): 711-723.

監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

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【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

当院で受けることが出来る免疫チェックポイント阻害剤

  • ニボルマブ(抗PD-1抗体)

    ニボルマブ(抗PD-1抗体)とは?

    がん免疫療法(NK・T細胞投与)と併用し免疫機能を高めるニボルマブ(抗PD-1抗体)の点滴治療

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  • イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)

    イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)とは?

    CTLによるがん(細胞)の破壊する働きを助ける免疫チェックポイント阻害剤

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  • 2種類の免疫チェックポイント阻害剤の併用療法

    免疫チェックポイント阻害剤併用療法とは?

    ニボルマブ(抗PD-1抗体)+イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)併用がん免疫療法(NK・T細胞投与)でがんの治癒率が飛躍的に伸びる可能性があります。

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  • アクセル+ブレーキ療法®コラム

    免疫療法のアクセル+ブレーキ療法®とは?

    従来の各種免疫細胞の活性化(アクセル)と、がん細胞の反撃を抑える免疫チェックポイント阻害剤(ブレーキ)を併用した新しい治療

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