宿命の対決!「がん」vs「免疫」
がん細胞の狡猾な戦略を打ち破れ!

■自分以外のものを排除する仕組み-免疫
がん細胞は、体を守る免疫の仕組みをさまざまな働きでかいくぐり、増殖を続けます。
宿命の対決ともいえる、がん細胞と免疫の攻防。そのメカニズムの解明が、より効果的ながん免疫療法の開発につながっています。

実は、免疫の力によってがんを治そうとするがん免疫療法の歴史は古く、1890年代から試みられています。しかし、初期の研究段階では、がん細胞や免疫の仕組みがわかっていなかったため、効果的ながん免疫療法につなげることはできませんでした。そうしたなかで、2011年、アメリカFDA(食品医薬品局)により世界初の承認を得た薬が登場しました。それが、免疫チェックポイント阻害薬です。現在、がんの“新たな”治療法として、免疫療法が脚光を浴びているのは、この免疫チェックポイント阻害薬の効果がはっきりと示されたからです。

そもそも、がん免疫療法とはどんな治療法なのかを理解するには、私たちの体に備わる免疫の仕組みと、がん細胞の特徴を知っておくことが重要です。

私たちの体には、「自分以外のもの=異物」を発見すると、外敵として攻撃を加え、体内への侵入を防いだり、体外に取り除いたりして、自分を守ろうとする働きがあります。これが免疫と呼ばれるものです。

免疫には、生まれながらにしてもっている自然免疫と、生きていく過程でさまざまな異物と出合うことで得られる獲得免疫(適応免疫)という2つの仕組みがあり、これらは互いに連携し合って、異物と闘っています。おもに免疫にかかわっているのは、血液中の白血球の仲間や樹状細胞などで、これらを免疫細胞といいます(表1)。

主な免疫細胞

■免疫機能は日々がん細胞と闘っている
免疫は、「自分でないもの」を見分けて標的とします。がん細胞は、元々は私たちの一部(自分自身の細胞)でありながら、さまざまな要因によって遺伝子が傷つけられた結果、遺伝情報に異常が生じ、正常な細胞とは性質が変わり、「自分ではないもの」になってしまった細胞です。

遺伝子が傷つけられることで、がん細胞は、従来の細胞にはないたんぱく質をつくりはじめ、がん細胞の表面に現れます。このたんぱく質は「がん抗原」と呼ばれ、目印となります。この目印を感知した時点で、免疫細胞はがん細胞を「異物=外敵」とみなし、攻撃をスタートします。

実際に、私たちの体内では、1日に数百個~数千個のがん細胞が発生しているといわれますが、免疫細胞の働きによって、日々がん細胞は取り除かれています。しかし、すべてを取り除くことはできず、生き延びたがん細胞が少しずつ蓄積し、増殖を重ね、やがて、一定の大きさになり、がんとして発見されることになります。

■免疫の仕組みの裏をかくがん細胞
免疫が、がん細胞をすべて取り除き、全滅させることができないのは、がん細胞がいろいろな方法を使って、まんまと免疫の仕組みの裏をかき、逃れることができるからです。

たとえば、がん細胞であるという目印そのものを隠してしまい、正体を偽ったりします。目印がないことには、異物として認識できないので攻撃のしようがありません。これは、胎児がお母さんのおなかの中にいても攻撃されない「免疫寛容」という仕組みを利用した戦略で、胎児の細胞になりすましていると考えられています。

さらに、がん細胞は、免疫がうまく働かなくなるような物質を放出したり、免疫の働きを阻止する細胞を増やしたりして、免疫の力を弱めて、必死に生き残ろうとします。これもまた、自分自身に攻撃を加えるなど免疫が暴走するのを防ぐために備わっている「自己寛容」という仕組みを利用したものです(図1)。

図1 あの手この手で、免疫担当細胞の攻撃をかわす、がん細胞

図1あの手この手で、免疫担当細胞の攻撃をかわす、がん細胞

こうしたがん細胞の働きのメカニズムの詳細が解明されるにつれ、免疫力全体を活性化してがんへの攻撃力をアップさせるだけでなく、特定の免疫細胞の能力を強化する各種の治療法が生まれたり、免疫チェックポイント阻害薬によってがん細胞が免疫にかけたブレーキを解除させて、本来の免疫を回復させる治療法などが開発されるなど、がん免疫療法の可能性は広がっており、その効果に期待が寄せられています。

《参考資料》
河上裕(編), がん免疫療法 腫瘍免疫学の最新知見から治療法のアップデートまで. 実験医学増刊 Vol.34 No.12, 羊土社 2016 萩原清文(著), 山本一彦(監), 好きになる免疫学 第2版. 講談社サイエンティフィク 2019 岡三喜男(著), 読んで見てわかる免疫腫瘍学. 中外医学社 2017 日本免疫学会(編), からだをまもる免疫のふしぎ. 羊土社 2008

監修医師紹介

阿部 吉伸 医師

湘南メディカルクリニック新宿院

院長阿部 吉伸医師

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【備考】
日本外科学会永久認定医
日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医
日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員
日本脈管学会会員
日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員
日本再生医療学会会員
医学博士

経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年
~1994年
パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

当院で受けることが出来る免疫チェックポイント阻害剤

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