光免疫療法とは
【2019年06月11日】
新しいがんの治療法として、光免疫療法が注目されています。先日も頭頚部がんの第2相治験結果の発表があり、30人中4人のがんが消え(完全奏功:13%)、9人のがんが縮小(部分奏功:30%)したそうです。43%ですから、約半数の方に効果があったことになります。
光免疫療法は、まずがん患者さんに、赤色光に反応する色素(IR700)にがん細胞膜に結合する抗体をつけたもの(ASP-1929)を点滴します。するとこの色素がついた抗体(ASP-1929)は体内でがん細胞膜に付着します。その後、赤色レーザー光を患部に照射すると、これら色素抗体(ASP-1929)が結合したがん細胞膜が、赤色レーザー光に反応し、細胞膜が破壊され、がん細胞が死滅する方法です。
現在、先駆け指定で認可されたもの(ASP-1929)は、がん細胞膜にあるEGFR(上皮成長因子受容体)に対する抗体(セツキシマブ)に色素(IR700)を結合させたものです。EGFRは肺がんや胃がん、大腸がん、膵がんなどにも発現しており、今後の適応拡大が見込めます。
また、がん細胞膜にはEGFR以外にも無限の受容体が発現しており、より効果的にがん細胞膜を破壊できる抗体の開発も期待されます。
早く光免疫療法が実用化されるといいですね。
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監修医師紹介
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湘南メディカルクリニック新宿院
院長 阿部 吉伸 医師 -
【備考】
日本外科学会永久認定医 日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医 日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員 日本脈管学会会員 日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員 日本再生医療学会会員 医学博士
経歴 | |
---|---|
1990年 | 国立富山医科薬科大学医学部卒 富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科) |
1994年 | 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士 胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科) |
1992年~1994年 | パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学 |
1997年 | 国立金沢病院心臓血管外科勤務 |
2004年 | パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。 |
2012年 | 新宿血管外科クリニック 院長 |
2015年 | 湘南メディカルクリニック新宿院 院長 株式会社シーオーメディカル顧問医就任 |
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