PARP阻害薬、オラパリブ

PARP阻害薬、オラパリブ


【2018年5月28日】

「合成致死」という新しい抗がん剤があります。2つの遺伝子の働きを邪魔することで、がん細胞を殺すものです。英アストラゼネカ社は2018年4月18日、オラパリブオラパリブを日本で発売しました。治療が難しい再発卵巣がんの治療薬として、期待を集めています。


合成致死の抗がん剤は、がんの増殖や転移にかかわる2つの分子を狙う分子標的薬です。がん細胞を2段階で攻撃するので、合成と呼ばれています。


がん細胞の最大の特徴は、分裂しながら突然変異し、多様な性質を獲得することです。これにより、抗がん剤に耐性を獲得し、免疫から逃れたりします。


このため、がん細胞はゲノム(全遺伝子情報)に突然変異を蓄積します。正常な細胞は、ゲノムに突然変異が生じても、それを修復する酵素を持っていますが、がん細胞にはこの酵素がありません。ただ、過剰に蓄積すると、がん細胞も死んでしまうため、ほどほどの蓄積にする機能があります。


このゲノム修復酵素は2種類あります。1本鎖のDNAに生じた突然変異を修復するPARPという酵素と、対になった2本鎖DNAを修復する酵素(相同組み換え酵素)です。多くのがん細胞では、相同組み換え酵素がなくても、PARPは残って一部ゲノムを修復することで、突然変異が過剰に蓄積しないようにしています。リムパーザはこのPARPの働きを阻害することで、がん細胞のゲノムの突然変異を過剰蓄積させ、がん細胞を殺します。


アストラゼネカ社は卵巣がんのみならず、乳がん、膵がん、前立腺がんなどにも治験を行っています。


また、同じPARP阻害剤の開発が、米ファイザー、仏サノフィ、米ヤンセン、米アッヴィ、イスラエル、日本のエーザイなどで行われており、アストラゼネカも固形がん全般に治験を進めています。


今後、注目されるのは、このPARP阻害薬とニボルマブ(抗PD-1抗体)ニボルマブ(抗PD-1抗体)などの免疫チェックポイント薬の併用です。免疫チェックポイント阻害薬は、ゲノムの突然変異が蓄積したがん細胞に効くことがわかっているので、併用することで抗がん作用が増強されることが期待できます。


PARP+NK+ニボルマブ(抗PD-1抗体)ニボルマブ(抗PD-1抗体)イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)イピリムマブ(抗CTLA-4抗体)併用療法が、最強のがん治療になる日も近いと思われます。


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監修医師紹介

阿部 吉伸 医師
湘南メディカルクリニック新宿院
院長 阿部 吉伸 医師

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【備考】
日本外科学会永久認定医  日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医  日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員  日本脈管学会会員  日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員  日本再生医療学会会員  医学博士
経歴
1990年 国立富山医科薬科大学医学部卒
富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科)
1994年 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士
胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科)
1992年~1994年 パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学
1997年 国立金沢病院心臓血管外科勤務
2004年 パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。
2012年 新宿血管外科クリニック 院長
2015年 湘南メディカルクリニック新宿院 院長
株式会社シーオーメディカル顧問医就任

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