CARーT療法が世界初承認、ノバルティスの「キムリア」、他社に先駆け米国で
【2017年09月04日】
免疫チェックポイント阻害剤に続く、新たながん免疫療法と位置付けられているCAR-T細胞療法として、スイス・ノバルティス社が開発を進めていた「キムリア(米国製品名)」(開発番号=CTL019)が、2017年8月30日付で米FDA(食品医薬品局)から承認を取得しました。適応は「小児および若年成人の再発・難治性B細胞性急性リンパ芽球性白血病」です。CAR-T療法の承認は世界初です。
CAR-T療法は患者さんの体内のT細胞を取り出し、がん細胞を攻撃するよう遺伝子改変を加え体内に戻す治療法です。
FDAが承認の根拠とした国際共同臨床第2相試験「ELIANA試験」では、キムリアの投与3カ月以内に83%(63人中52人)の患者が完全寛解または血球の完全な回復を伴わない完全寛解を達成しました。試験には米国や欧州、カナダ、オーストラリア、日本の25施設から68人の患者が参加し、うち63人の有効性について評価したものです。
米国では今年後半に、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者の治療としての追加申請を行う予定です。日本では申請予定時期は明らかにしていませんが、米国と同様、2つの適応で承認を取得することを目指しているということです。
CAR-T細胞療法を巡っては、米カイト・ファーマ社のKTE-C19もFDAから画期的治療薬指定を受け、昨年12月に米国で承認申請を行っています。第一三共は今年1月に、KTE-C19の国内での開発・製造・販売などに関する契約をカイト社と締結しました。なお、ギリアド・サイエンシズ社は2017年8月28日に、このカイト社を119ドル(約1兆3000億円)で買収することを発表しています。いよいよ、がんは免疫でほぼ完全に治す時代になりつつあります。
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監修医師紹介
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湘南メディカルクリニック新宿院
院長 阿部 吉伸 医師 -
【備考】
日本外科学会永久認定医 日本胸部外科学会永久認定医
心臓血管外科専門医(2004~2009)
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術実施医 日本癌治療学会会員
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員 日本脈管学会会員 日本静脈学会会員
日本血管外科学会会員 日本再生医療学会会員 医学博士
経歴 | |
---|---|
1990年 | 国立富山医科薬科大学医学部卒 富山医科薬科大学病院第一外科入局(胸部・心臓血管外科・一般消化器外科) |
1994年 | 国立富山医科薬科大学大学院卒・医学博士 胸部外科認定医取得(食道・肺・心臓外科) |
1992年~1994年 | パリ第12大学アンリーモンドール病院心臓外科留学 |
1997年 | 国立金沢病院心臓血管外科勤務 |
2004年 | パキスタン、トルコ、ミャンマーの日本大使館に外務省参事官兼医務官として8年間海外勤務。 |
2012年 | 新宿血管外科クリニック 院長 |
2015年 | 湘南メディカルクリニック新宿院 院長 株式会社シーオーメディカル顧問医就任 |
当院で受けることが出来る免疫チェックポイント阻害剤
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